サイフロ中受検のみなさん、こんにちは。
サイフロセミナー 講師の新井です。
いよいよ、2020年中学受験が始まりました。
千葉県・栃木県・茨城県では早くも合否の出た学校もあります。
同時に、残念ながら、千葉県の公立中高一貫校にて、2020入試最初の出題ミスが起きてしまいました。
どんなミスがあったのか、確認していきましょう。
千葉県の適性検査の日程
ミスのあったのは、千葉県立千葉中学校・千葉県立東葛飾中学校の2校です。
千葉県は公立中高一貫校では珍しく、1次試験と2次試験があります。
1次試験では適性検査1-1 ( 文系 ) ならびに適性検査1-2 ( 理系 ) が行われ、100点×2の200点満点で1次試験合格者を決めます。
2次試験は適性検査2、面接試験、報告書の審査、が行われます。
今回問題が発生したのは、1次試験適性検査1-2 ( 理系 )の問題です。
出題ミスの詳細
大問2 ( 3 ) < 1 >
” カ〜サにあてはまる数を ”
と書くべきところを、
” カ〜サにあてはる数を ”
と書いて出題してしまい、かつ、試験時間内に誤字脱字の適切な修正アナウンスを対応できなかったとのこと。
この誤字により問題が不成立になってしまったと考えた千葉県は、1問3点×6=18点分を、この問題を解答したかどうかにかかわらず全受検生に付与するとの判断を行いました。
参考URLはこちら↓
この措置をめぐり、ネット上では以下のような意見が飛び交っています。
「 適性検査は厳しい制限時間が特徴。この問題を捨てて他の問題に時間を割いた受験生と、他の問題を捨ててこの問題に時間を割いた受験生のこの部分の得点が同じになってしまうのは公平ではない。 」
「 そもそも県立千葉中学の ” 受検 ” 準備しかしていない。私立中学 ” 受験 ” の準備が今から間に合うのだろうか。」
様々な意見が飛び交っていますが、塾としての見解をまとめます。
①18点加算という判断が下された理由の推測
公立中高一貫校は、私立中学よりも、とくに ” 言葉 ” を重視する学校です。
しっかり対策した受験生であればご存知かとは思いますが、
たんに解答の正解・不正解がはっきりする問題だけではなく、
理由をしっかり記述する問題や、数百文字の作文が課される学校がほとんどです。
つまり、大学入試改革で話題になっている思考力を問う問題を、15年以上前から出題し続けてきた歴史があります。
当然、誤字・脱字は厳しく確認され、適性検査、作文ともに、減点の対象となります。
そのような中で、公立中高一貫校自身が誤字・脱字することは、他の中学よりかなり重い意味を持ちます。
二度と繰り返さない、という自戒の意味を込めて、全員に18点与えるという破格の大判振る舞いに至ったとしても不自然ではないです。
” あてはる ” は、 ” あてはまる “ の誤字だと常識的にわかるだろう、と、切り捨てることが難しい採点事情が公立中高一貫校にはあるのです。
②18点加算することの是非
適性検査100点のうち18点を全員が獲得することで、理系の最低点が18点になってしまっています。
合格平均点が80~90点となるようなテストであればこれは大きな問題にはなりにくいです。
しかし、県立千葉中学校は1科目あたりの合格点が30点前後というシビアな試験です。
もし、大問2を捨てて、大問1に全力で挑んで完成度の高い答案を書いた生徒に、全く解かなかったはずの大問2の点数が加算されたとしたら、かなり不公平と言わざるをえません。
ただ、全く加算しない場合、” あてはる ” の意味がわからずに問題が解けなかった生徒が極端に不利になることが想定されます。
( そもそもそんな受検生は他の問題で引っかかってしまうと思うのですが。 )
どのような配点とするのが正しいのか、公立中高一貫模試を作成している首都圏模試センターなど、採点の専門家の意見を待ちたいところです。
【12月19日追記】
本日、千葉県教育委員会から1次試験結果が発表されました。
今後の対応についての見解を再度まとめたいと思います。