人類の脳はその進化とともに大きくなっています。
脳の大きさと「頭の良さ」はある程度関係があります。
「ヒト」の脳は直立2歩行により両手が使えるようになり、発達したとよく言われますが、それは正確ではありません。
直立歩行のあと、450万年ほどは大して発展はしていないのです。
旧石器時代の初期の頃でもまだ小さく、500ccほどだったそうです。
脳が発達する条件としてはいくつか説がありますが、肉食が容易になったことが一因と言われています。
脳はとてもエネルギーを必要とするので、そのための十分な栄養が必要なのです。
人は火の利用により、肉を効率よく吸収することができるようになりました。
そして、その脳を使い、新たな道具や言語、認識能力、さらに社会生活をつくりだし、脳を活用してきました。
現代においても、クジラやイルカなど集団で生活し、言語を用いていると思われている動物の脳は、大きなものが多くなっています。
脳の大きさを単純に体重との割合で示すと、体の小さなほ乳類の数値が大きくなってしまいます。
人間の2%に比べ、トガリネズミが10%となってしまいます。
そこで脳化指数と呼ばれる、ある特殊な計算をして調整してみましょう。
すると人間が5.1、イルカが2.8などとなります。
ちなみに人間も700万年前にチンパンジーと進化の過程で分かれた頃は2.1だそうなので、150万年前くらいまではイルカが1番だったようです。
このように人の脳は大きくなってきましたが、そのピークはネアンデルタール人のころの1,550ccくらいで、現在は少し減って1,350cc程度となっています。
脳は人の2%しかないのに、エネルギーの20%を必要とするので、その無駄を省くために、記憶の総量を減らすために文字などを使用し始めたのかもしれません。
スマートフォンで例えると、無駄なアプリを消したようなものかと思われます。
また人は脳を多様に使うためなのか、他の動物より長い睡眠をまとめてとります。
動物は短い睡眠を数回に分けてとります。
イルカなどは半分ずつを休ませ、水中でも生活できるようにしています。
現代科学においても、まだまだ脳にはわからないことがたくさんあります。
記憶や夢など、脳科学の分野ではさまざまな研究がなされています。
今後さらなる研究の成果に期待をしたいところです。