横浜サイエンスフロンティア中学受験のみなさん、こんにちは。
サイフロセミナー 講師の新井です。
今日は、人工知能とは何か、かんたんにまとめてみました。
人工知能はサイエンスフロンティア中学ですでに出題されたこともありますね。
【 平成30年度の適性検査II 大問3より一部抜粋 】
人工知能とは何か
人工知能をわかりやすくまとめると、
「 ひとの思考を行うことのできるコンピュータ 」 です。
では、どのようにひとは思考を行っているのでしょうか?
もちろん、さまざまな解釈が考えられますので、その考え方(設計思想)によって、
多くの手法が取り入れられました。
ですので、人工知能を知るためには、第一に、
「 ひとが考える 」 とはどういうことなのか? を決める必要があります。
ここでは、新井先生が特徴的だと考えている、
「 第五世代コンピュータ計画 」 と 「 ディープラーニング 」 に絞って解説します。
「第五世代コンピュータ計画」と人工知能
第五世代コンピュータ計画。何やら難しそうなことばですね。
これは、1980年代の日本で、
巨額の予算を投入して行われた国家プロジェクトです。
このプロジェクトで、
「 ひとが考える 」ことを、
「事前に持っている、決められた知識を用いて、
目の前のある事象について判断する。」
と決めました。
ということは、
① 事前に、実際にひとが使っている知識をコンピュータにインプットする
② その知識を、高速でアウトプットする
ことができれば、「 考えた 」ことになるのでしょうか?
答えはNOです。
これは、「 考える 」ということにはならないですよね。
この2つのステップで判断する人工知能は、エキスパートシステムと呼ばれます。
例えば、医者は目の前の患者を、過去の治療のデータをもとに判断しています。
弁護士は裁判状況を、過去の判決事例をもとに判断しています。
では、これらの知識を最初からコンピュータに入れておき、素早く取り出すことができれば、コンピュータが医者や弁護士の代わりになるのではないか、という考え方です。
1991年、Prologというプログラミング言語をベースとした人工知能が生まれました。
これにより、今まで以上に高速なアウトプットが可能となりました。
新井先生も、昔、面白半分にPrologを使って、学会発表をしたことがありますよ。
しかし、残念ながら世間で主流となっている人工知能は、このタイプではありません。
なぜなら、このエキスパートシステムには大きな問題があるからです。
それは、「 何を持って正しい知識とするのか 」です。
専門家の間で色々な考えがあった場合、知識をインプットすることができなくなってしまうことが問題です。
このあたりの課題は、” サイエンスの考え方 ” をもつ皆様がぜひサイエンスフロンティア中学に入学して、解決してみましょう。
「 ディープラーニング 」と人工知能
2006年、ディープ・ラーニング ( 深層学習 ) が誕生しました。
現在主流となっているこの人工知能では、
「 ひとが考える 」ことを、
「 インターネット上にある膨大なデータをいくつかのグループに分けることで、目の前のある事象について判断する。 」
と決めました。
① コンピュータが、インターネット上から膨大なデータを集めてきて、違いを学習する
② 学習した結果にもとづいて、ある事象がどのグループにふくまれるか判断する
難しいですね。機械学習とは何か、かんたんな例を挙げます。
この3つの画像をみて、人工知能が「これは青だ」と自分で学習します。
次にこの3つの画像をみて、人工知能が「これは赤だ」と自分で学習します。
これらを学習すると、他の色をみたときにも、
青か赤かが自分で判断できるようになります。
エキスパートシステムは、専門家の意見を学習させていたのに対し、
ディープ・ラーニングでは自分で学習することができるので、だいぶ人工知能は進化しましたね。
実際に赤か青かを判断するには上の例のような3枚ずつでは足りません。
何回も、何重にも、膨大なデータを集めて学習し、基準を作る必要があります。
これを突き詰めていくと、色々な人工知能が生まれます。
たとえば、レジに商品を通すと瞬時に合計金額を出す人工知能や、
過去の将棋のデータから最も有力な次の1手を指す人工知能などが次々に生まれました。
私達の生活を支えているのは、多くがこのタイプの人工知能です。
しかし、これらの人工知能は、あくまで事前に学習をしておかなけば機能しません。
学習していない分野には成果を出せません。
昨日までレジの合計金額を瞬時に出していた人工知能に、明日から将棋をささせることは難しいのです。
また、世界大戦などは過去に2回しか起きていませんので、もし明日大きな戦争が起こってしまったとしたら、
正しい解答を出すことは、人工知能には不可能です。
さらに、エキスパートシステムが目指したような、専門家によって意見が分かれてしまうような例に関しては、相変わらず実用化のめどはたっていません。
まだまだ人工知能は、さまざまな問題を抱えています。
これも、” サイエンスの考え方 ” をもつ皆様がサイエンスフロンティア中学に入学して、解決してみましょう!
まとめ
結論として、 「 ひとの作業を行うことのできるコンピュータ 」 はできつつあります。
まだまだ人工知能には、判断する力が足りていません。
ひとは、起こったことのない状況においても、判断を下すことができます。
「 ひとが考える 」ことは、科学で完全に解明されていない、偉大なことなんですね。
我々と同じように「 考える 」ことのできる人工知能が誕生するのはいつでしょうか。
さぁ、しっかり対策を行い、
横浜サイエンスフロンティア中学受験合格を勝ち取ろう!
そして、サイエンスの考え方を体得し、将来を切り拓こう!